ガイドラインでD判定の人工毛植毛とは

ホルモンバランスの乱れが原因で発症するAGAは、男性ホルモンが髪の毛に進入することにより、異なる成分に変化して、正常な育毛や発毛のメカニズムを阻害すると共に、ヘアサイクルを短くして、髪の毛の細胞分裂の限界を早める進行性の薄毛です。このAGAに関する治療はさまざまなものがありますが、中には人によってあまり効果が見られない治療、危険を伴う治療なども存在していますので、医療的な観点から発毛に効果があるとされる治療法で、どういった評価がなされているかを判断するためのガイドラインが必要となります。

 

 

男性型脱毛症診療ガイドラインとしては、日本皮膚科学会が発表している発毛治療に関するガイドラインが良く参考にされており、指標ともなっています。日本皮膚科学会と毛髪科学研究会が共同で作成していますので信頼性が高く、推奨度のランクも記載されていますので、これを指標として治療に当たっている医師も少なくありません。このガイドラインでの推奨度の分類は、Aで行うように強く勧められる治療、Bで行うよう勧められる、C1が行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない、C2が根拠がないので勧められない、Dは行わないよう勧められる治療ということになっています。これらの推奨度は、発毛の効果が実際に期待できるか、治療の仕組みや使われる道具などの構造、薬の有効成分、副作用の有無、治療を行ったことによる具体的な作用などを調査して判断していますので、実際にAGAが改善できたかという実感だけでなく、安心して治療を受けられるかという判断をするときにも役立ちます。
AGAの治療では、飲み薬や塗り薬、カクテル注射、再生医療などが良く知られていますが、このほかに頭皮に毛髪を移植する植毛も行われています。体質改善による抜け毛の防止や発毛の促進には時間がかかりますので、植毛で短時間に改善させたいという希望者に行っていますが、自毛植毛の場合には推奨度はBですが、人工毛植毛の場合にはDになっています。人工毛植毛とは、合成繊維などを使用して作成した人工の毛髪を頭皮に植毛する治療法で、自毛植毛ができるほど毛髪が残っていない人などに良く利用されており、見た目には髪の毛の色や太さなど、本来の髪の毛とそれほど大きな違いがないように見られますが、アレルギーを引き起こす可能性があること、自毛植毛のように定着して髪の毛が伸びたり増える可能性が一切ないこと、一定期間経過したら自然に抜け落ちていくため、一時的な治療にしかならないことなどが特徴です。治療として行ってはいけないというものではありませんが、一時的な措置としては手術になりますので痛みや費用が高額になることなどが懸念事項として挙げられますし、担当医師とよく相談してから行うと良いでしょう。

 

 

ちなみに、ガイドラインではやはり投薬による治療の方が確実性が高いという判断がなされていますが、原因がホルモンバランスの乱れということもあり、男性には使うことができるホルモンの調整作用のある薬剤も、女性には使えないなどいくつか注意すべきポイントがあります。また、ガイドラインでは非常に推奨度が高い治療法であっても、個人差がありますし、人によっては全く効果が見られない可能性もありますので、最終的には検査を行って、医師と相談した上でどういった治療をするかを決めていく必要があります。そのためにも、症例数が多く、実際に利用した人からの評価も高いクリニックを見つけ出して、そこで自分が受けたいと希望している治療が受けられるかを確認した上で、カウンセリングの予約を取ってみることをお勧めします。基本的には完全予約制ですので事前に連絡を入れましょう。