男性型脱毛症診療ガイドラインを発表した日本皮膚科学会とは

日本皮膚科学会は、東京帝國大學教授土肥慶蔵博士の提唱により明治33年12月に創立され、今日の皮膚科学の進展や診療システムなどの形成を図っています。
皮膚科の研究や教育、診療などに真摯な努力を重ねた事、湿疹を初めとして皮膚炎やアトピー性皮膚炎、皮膚悪性腫瘍と言った診断や治療について寄与を行い日本国内においてのハンセン病や梅毒などの性感染症と言った治療および撲滅に多大な貢献が行われています。
昭和49年より、国内での難病対策を目的とした皮膚専門医を中心とした研究班を設け、皮膚結合組織疾患、自己免疫疾患、神経皮膚症候群など幅広い分野の研究を行い、診断基準や治療ガイドラインの策定を行っており、昭和57年に入ると、東京で国際皮膚科学会を開催し、世界の皮膚科学会の中での主導的な役割を持つようになったのが日本皮膚科学会の主な沿革です。

 

日本皮膚科学会が定めた男性型脱毛症診療ガイドラインは各種皮膚疾患の診療ガイドラインの一つであり、治療方法を選定する際に利用すると言う目的、最善と思われる診療を提示すると言う目的があり、現在2010年度版として一般公開が行われています。
男性型脱毛症診療ガイドラインの中では、ガイドラインの概略、疾患概念・病態と診断、治療と言った構成になっており、ガイドラインの概略の中では男性型脱毛症は思春期以降に始まる症状であり、症状は徐々に進行する脱毛症、外見上の印象を大きく左右する事からも社会的な影響は大きく、男性型脱毛症に有効とされる外用薬や内服薬の育毛剤の開発が行われており、診療の中でもこれらの医薬品が積極に使用されているものの、専門医の立場からは無効となる科学的根拠に基づかない治療法が社会的に横行していること、向こうは治療法を漫然し続ける患者も少なくないなど、ガイドラインを策定した背景や目的が最初に記されています。
無効な治療法を続けていても、男性型脱毛症の症状を抑える事は難しい事などから男性型脱毛症診療ガイドラインが策定されたという背景になるわけですが、科学的根拠に基づいた治療法を選び出した上でガイドラインが作成されているため、診療を行う医師と治療を受ける患者の双方にとって、標準的な治療法を促進させる効果を期待することが出来るようになります。
アメリカなどでは既に診療ガイドラインが作成され一般公開も行われていると言いますが、人種、医療制度、社会的な背景等に大きな違いがあること、そして日本人向けとしてそのまま利用する事が困難であることから、日本人に合う標準的な治療法を選定した上で男性型脱毛症診療ガイドラインが定められているのが特徴です。

 

男性型脱毛症診療ガイドラインを作成した日本皮膚科学会ではガイドラインの中で疾患概念・病態と診断と言った事項で、男性型脱毛症がどのようなメカニズムで脱毛症が起こるのか、原因はどのような事で、治療法には何が最適であるのかが定められています。
日本皮膚科学会のガイドラインには蕁麻疹診療ガイドライン、円形脱毛症診療ガイドライン、皮膚悪性腫瘍診療ガイドラインなど幅広い疾患のガイドラインが定められているのが特徴で、一度作成が行われたガイドラインでも現在修正中と言った具合にガイドラインの内容が見直しされる事も在りますし、見直しが図られている間は閲覧が出来ませんが改定が行われる事で改訂版として一般公開が行われるようになっています。
また、男性型脱毛症診療ガイドラインの中のガイドラインの位置づけでは、日本皮膚科学会が現在の日本国内における男性型脱毛症の標準的治療試案として策定されたものだと言う事が謳われており、患者に対し、特有な背景、病態に配慮しながら最適な治療法を提供することを重要としていると定めています。